2008/08/01 (Fri) 『三面記事小説』を読んだ

ちょっと長め（４日）に仕事が休みなので、
この間に１冊くらいは読んでおこう～って読み始めたら、
面白くて１日で読んでしまった！


『三面記事小説』角田光代

過去ほんとうにあったいろんな事件をもとに、
その背景を角田さんが描いている、6つの短編集。

「愛の巣」は、平成１６年８月に発覚した、
元小学校勤務（たしか、用務員さんだったと思う）の男性が、自宅が区画整理で立ち退きになるため、
２６年前に殺害し、自宅の床下に埋めた小学校教員の遺体が見つかることをおそれ、自首した・・・って話がベース。
主人公は、犯人の奥さんの妹。
妹は姉の様子がおかしくなっていき、自宅に行くと、自宅がかわりはてていき・・・
何があったんだろう？
幸せな結婚生活をしていたのは、姉だったの？私だったの？？
と、自問していくお話。
全然違う人間が主人公になることで、かわった切り口で当事者達を描いています。

「ゆうべの花火」は平成１７年９月に発覚した
インターネット上で、恋人の奥さんの殺害依頼をし、大金を払ったのに実行されないことを警察に相談し、本人と、依頼された人間が逮捕された・・という事件がベース。
主人公は捕まった二人。それぞれ同時進行で話がすすみますが、
二人がかさなることはありません。
「好きだ」と言ってくれた人に少しずつハマっていき、
その人に奥さんがいることが分り、でも不仲であるという事を鵜呑みにし、
最初、自分が優位だった恋愛が、どんどん相手優位になっていき、
お金を払わないと会ってくれなくなり・・・・。
一方、人間と交わることが苦手で仕事が続かない男は、友人が設立した闇サイトに関わるようになる。
お金さえあれば、遠くに住む彼女（？）を東京によべる、そしたらいまのような淋しい人生を送らなくて済む・・・・・

すこしずつ、車輪がずれて、どんどんとんでもない方向に転がっていくって、
人間ってもろいなぁ・・・って思うおはなしでした。

・・・と、全部かくときりがないので割愛しますが、
そのほか
「彼方の城」は１６歳高校生に淫行をしてつかまった３８歳の女の事件、
「永遠の花園」は担任教諭の給食に、薬物をまぜた女子中学生の事件、
「赤い筆箱」は自宅で勉強中に何者かに殺害された女の子の事件
「光の川」は介護疲れで母親を殺してしまった男性の事件。

それらの事件の背景が描かれていて、
TVから何気に流れる事件の、せつなさ、狂気を感じ、
それらが実は、私達のすぐ横にあるのかもしれないような気にさせられました