2008/01/31 (Thu) 『袋小路の男』を読んだ

この本はどこかでオススメされたこととか、
この作者のほかの本をみて・・とか、
そういうのを一切なしで、
図書館でふと目にとまって、ぱらぱらぱら～とめくって、
帯をみて（図書館の本は、中表紙に帯が貼ってあります）借りました。

こうやって借りるのも珍しいかも。


『袋小路の男』絲山秋子

ちなみに、第30回川端康成文学賞受賞らしいですよ。

帯にも「純愛物語」と書いてありますが、
ゆがんだ・・・っていうか、
ある意味・・っていうか、
ま、純愛物語なのかもしれません
現代風・・・・と枕詞につけたら、丁度しっくり、くるかな？

「袋小路の男」と「小田切孝の言い分」はつながったお話です。
（川端康成賞は、「袋小路の男」のほうです）

わたし（日向子）はあなた（小田切孝）を高校時代、ジャズバーで出会い、好きになる。
でもあなたはわたしの気持ちを分っていて、「友達以上」の関係だけど、
決して、指一本ふれることはない。
そんな12年間のお話。
その間、わたしは大学入学、卒業、就職、大阪転勤、帰京と環境がかわり、
何人かの恋人もできるけど、
やっぱりあなたのところにもどってしまう。
あなたも、浪人したり、作家をめざしたり、恋人が何人かいたり・・・と変わっていくけど、
やっぱり、なんとなくさみしくなると、わたしに連絡をしてくる。

読んでいて、短気なひとは「い～～～っ！」ってなるかもしれない。

なにがよくてこんな男を想い続けるんだ？！・・・なんて想うだろうな。
たぶん、日向子が私の友達だったら
「もういいから、やめとき！他の人と真剣に付き合いなさい！」
って説教するかも。

でもでも、実は日向子の気持ちがよく分る。
待っていても何一つ、自分にメリットがあるわけではないんだけど
でも、小田切が「疲れた」って言うときには、何をおいても癒してあげられるように、万全の準備をしておきたいし、
何かあったら、一番に力になってあげたいと思うし・・・・

しかし、この、小田切って男はあんまりいい人間ではなさそうだな・・・・。
実力がないのに、自信過剰・・っていう、最悪。
それって、たぶん、日向子が甘やかすからだろうな。
ってことは、・・・二人は自業自得・・・なのかもね。