2007/09/23 (Sun) 『ホリー・ガーデン』を読んだ

今日も義母がいて、子供たちとずっと家の中で遊んでいたので、
手持ち無沙汰だった私は

『ホリー・ガーデン』江国香織を読み終わりました。


結構ぶあつい本だったので、図書館でも借りるのを躊躇していたんですが、
そろそろ江国さんの本も数少なくなってきたので、とうとう手をだしました。

長編だから・・っていう訳でもないと思うんだけど、なかなかとっつきにくくて
最初、果歩という女性にも、静枝にも共感がもてなくて、
濃すぎる江国ワールドにも入り込めなくて・・・

それは、やっぱ、細切れでしか読書タイムがもてなかったからもあるかな。
おちついて読めないと、現実生活とはちょっとかけ離れているからね。
（別にファンタジーではないけど）

今日、半分以上をまとめて読めて、いつの間にか終わった・・ってくらい江国ワールドに入り込みました。
で、読み終わってから、特に果歩の気持ちに同調してしまって、涙がでそうになるくらいでした

果歩と静江が交代で一人称になります。
二人は高校まで親友。大学はお互いに違うところにいったものの、
二人とも東京で新生活を始めるにあたって、数年間同居します。
で、現在はひとりづつすんでいる・・という状態。
年は30歳前。
静江は岡山在住の人と不倫関係。・・・遠距離＆不倫・・っと、恋愛において最大の難関を二つも持っています。
それから果歩は、過去の男性を何年たっても忘れられず、うわべだけの気持ちで女友達を夕食に誘い、うわべだけの気持ちで何人もの男たちと関係をもっています。
それを静江に問いただされて喧嘩もします。
「でも、精神的なお友達があんなにいるなんて、すごおく淫らだと思う。信じられないくらいよ。それにくらべたら、寝ることなんて全然なんでもないと思う」
と、果歩が逆に静江を攻めた台詞が・・・ちょっと印象的でした。

本文ではそんなに静江は精神的にいろんな男の人に頼っている・・ってこともないんだけど、
心のシャッターを昔の男にしか開けてない果歩にはそうみえるんでしょうか。
でも、この言葉は意味深だなぁ・・・って思いました。

果歩には過去の男だけでなく、同僚の中野君という果歩を慕ってくれる男性がいます。
最初、果歩にはそんな気もないのですが、
この中野君が・・・いいんです。
微妙に果歩に寄り添っているかんじ。
なので、がっちり閉まった心が、『不本意ながら』だけど開きかけてくるんですよね。

でもでも、
お風呂場で粉々に割れた洋食器たち。
呆然とたちつくす、果歩・・・・の風景がすごく綺麗に感じられました。
愛が壊れた瞬間と壊した潔さ・・・ですよね。
こんなに愛された津久野さんって・・・どんな人なんだろう。
（あまり描写されませんでした。「普通の人」としか）

先にも書いたけど、長くて、細切れで読んでいたので、
前のほうとか忘れているかな・・・って
読み終わってからもう一度数ページを読み返したんですが、どのシーンもあたまにしっかりこびりついていました。
少しの刺激で、鮮やかによみがえるってのが、江国ワールドのすごいところかもしれませんね。