2009/05/22 (Fri) 『いとしい』を読んだ

これ、名古屋へ行く前にマクドで時間つぶししていたときに読み終わりました


『いとしい』川上弘美

上にはったのは楽天アフェリが文庫しかなかったので、文庫をはってますが、
持っていったのは、新書版。
梅田で読みおわっていたので、かなり重くて、どっかに置いていこうかとおもっちゃったわ。
でも、図書館の本だったのを思い出し、ちゃんと持って運びましたけど

結構、好きな空気感が漂っています。
そんな幸せではないけど、まったりしていて、でもちょっと寂しくて。

主人公は、マリエ。物語は幼い頃、姉の髪にからまったことから始まり、
簡単な成長も記されてますが、
ほぼ、高校教師になってからです。
その教室で後ろ向きに授業を受ける、ミドリ子と、校外で会い、
そのままミドリ子の兄、紅郎（露天商）を紹介され、付き合うようになり・・・。

そんな話。
これではなんだか分りませんね

あんまり書くとネタバレになりますが、
淡々と続く、恋愛小説とも、成長小説ともいえない、たゆたう空気感のあるお話です。


この手の小説は、たぶん、その空気がメインなので
紹介するのは難しい・・・・。
いつも悩みます。

そういえば、
よく考えると誰が、誰を「いとしい」のか・・・はっきり書いてなかったなぁ。
でも、誰もが誰もを「いとしい」と思っているのかも・・・なんて思った。

まず、マリエの母は、２回結婚をし、３人目の恋人ができ、別れています。
その３人目の恋人、チダさんのことを、
マリエの姉、ユリエが好きになり、おしかけてせまっちゃうこともあったり、
その後、ユリエは、オトヒコさんという人と同棲したりもします。

ミドリ子には鈴本鈴郎などという、ちょっと理解しがたいストーカーのような男が現れ、
執拗に付きまとうのを、ミドリ子が気持ち悪く感じつつ、何か惹かれてしまったり・・・。
でも、ミドリ子が本当に好きな人は他にいたり・・・。

こう書くと、ぐちゃぐちゃな人間関係だなぁ・・・
でも、そう感じないんですよね。
みんな当たり前のように、目の前の相手に惹かれているんです。
（「恋」とか「愛」とかと同じモノなんだけど、
そういう言葉とはちょっとニュアンスが違うようにも思う）


最後、ちょっとファンタジックに終わったのは不服です。
ほわほわしたお話でも、最後まで現実的であってほしかったなぁ。